澤村・スペンサー・英梨々(さわむら・スペンサー・えりり)

声 - 大西沙織
イギリス人の父と日本人の母を持つ、小柄なハーフ美少女。豊ヶ崎学園2年G組、進級後は3年F組。誕生日は3月20日[2]。身長:158cm、スリーサイズ:B 79.9/W 56/H 86。『blessing software』では、1作目のゲームのキャラクターデザインと原画と背景担当を務めた後、サークルを辞めた。いわゆるツンデレな女の子(だが、当初は「デレ」の要素を全く見せないため、「ツンデレキャラとは死んでも言わない」と倫也に思われていた)。

美術部所属でエース。入学直後の市の展覧会で入選している。金髪ツインテールで[注 6]、瞳が青く肌が白い。家は金持ちだが、学校ではそれを鼻にかけず、お嬢様のような可憐な言動をとり、同級生を「さん」付けで呼んで分け隔て無く優しく接している。そのため人気は高いが高嶺の花のように思われていて(告白されることはあっても、無難に断り続けていた)、学校で接触するのは同じ美術部員くらいであり、校外で接触する友人はいなかった。

一方で、学校関係者にほとんど知られずにいるがオタクで、男性向け凌辱もの18禁を含めた同人誌やイラストも描く[注 7]新進同人イラストレーターとして活動していて、その事情を知る者へは傍若無人な本性を見せる。『blessing software』加入後は、倫也が英梨々個人の18禁同人誌原稿作成を手伝ったこともある。自宅や倫也の家で原稿作業を行うときはツインテールをほどいて、髪がぼさぼさになっても放置し、さらに中学校の指定だった緑のジャージを着るという状態になる。強度の近眼で、学校ではコンタクトレンズを使っているが、作業の時はメガネにしている。18禁同人誌を描くのは「そのほうが売れるから」と公言しており、同人の題材に選ぶのも、その時々の売れ線のものばかりだが、クオリティには決して手を抜かない。

倫也の部屋の西窓から見える、高台の大きな屋敷に、オタクな両親と住んでいる。倫也の幼なじみで、家族ぐるみで倫也をオタクに引き込んだ。小学校と中学校も倫也と同じ。かつてはよく倫也の家に遊びに来ていて、倫也の家の予備の鍵の隠し場所を知っているほど。倫也の誕生日に『リトルラブ・ラプソディ』をプレゼントしたことがある。

小学3年生の時、オタクであることを理由に、倫也とともにいじめを受ける。それに対して、英梨々はオタクをやめたフリをして、オタクと接点がない女友達を作ることで切り抜ける。一方倫也は、それまで以上にオタクを公言していじめを乗り切ったため、倫也と疎遠にせざるを得なくなった。以後倫也と会話しなくなり、互いの家の行き来もなくなった。その後、隠れオタクとして創作活動を始め、努力を重ねた結果、コミケに壁サークルとして参加するまでになった。倫也とは、内心は関係修復をずっと願っており、高校生になってからやっと、オタクグッズの貸し借りをする程度の関係に復旧し、その程度のことにも密かに非常に喜んでいた。だが、いじめを乗り切るために作った自分のお嬢様イメージを崩せないでいたため、学校の人目に付くところでは相変わらず倫也とは会話せず、赤の他人のように振る舞っていた。

倫也に対してはずっと好意を抱き続け、サークル勧誘のための呼び出しを受けたときは、何のための呼び出しか知らないまま行ったため、関係修復してもらえると早合点して内心歓喜したほど。その後結局倫也のサークルに参加することになるが、上記の経緯のため、倫也に近づく接点がサークルを除けば「幼馴染」という点くらいしかない。しかも、その唯一のアドバンテージすらも美智留の登場で瓦解し、詩羽に「パチモンの幼馴染」という罵倒を、切り返すこともできずに放心していた。他にも、特に倫也搦みとなると精神的にもろい面が多く、詩羽に言い負かされて涙目になったり逃げ出したりすることが多い。またそのもろさが、クリエイターとしてのモチベーションなどにも大きな影響を与えることがある。cherry blessing製作当時、確執とプライドで雁字搦めになって、学園祭最終日に恵はおろか対等であるはずの詩羽にまで後れを取った際は密かに泣いていた。

英梨々がオタクな同人イラストレーターであることを倫也が恵に暴露した際、恵を口止めするため、イギリス高級ブランドのリボンを恵に贈る一方で、自分の正体をばらさないよう脅迫した。当初、恵とも「加藤さん」「澤村さん」と呼び合っていたが、後に「自分の正体を知るサークル仲間で、友人」として名前で呼びあうようになり、恵にゲーム制作のことを教えたり、恵に自分の服を見立ててもらったり、詩羽と倫也の跡をつける時に恵を呼び出したりしている。

いつも自分に毒舌を吐く詩羽を敵視しているが、作家としての実力は評価しており、倫也に『恋するメトロノーム』を貸されて以来の彼女のファン。同じクリエイターとして意気投合することもあり、共通の敵(恋敵)が現れた際は一瞬で手を組んで相手を貶す。

『cherry blessing』の最後に仕上げたイベント絵を倫也に絶賛され、英梨々の長年の目標だった「倫也にとっての一番のイラストレーターになる」ことを実現し、倫也との仲直りを果たす。その後は幼なじみとしての倫也との関係を急速に取り戻し、学校でも人目を気にせず倫也と一緒に登校したり、会話したりするようになった。だがその後、倫也への想いを抱きつつも涙ながらに謝罪のメールを送り、『blessing software』脱退を伝える。

その後、3年生になってからは倫也と同じクラスで、さらに隣の席になる。サークル脱退時のしこりが残っており時折気まずい雰囲気になるが、倫也とクラスメイトとしての会話は続けており、その内容に一喜一憂している。また倫也とサークルのことを気にかけ続け、電話やチャットで倫也に近況を聞いたり、自分の仕事の愚痴を倫也にこぼしたりしている。さらにサークル脱退時に断絶されてしまった恵との関係修復を望んでいるが、自分から恵にはなかなか切り出せず倫也に仲介を頼んでおり、短編集『Girls Side2』内(本編時系列では10巻直前)でようやく恵と和解した。

また3年生になってから学校では、“誰にでも対面のいいお嬢様”の仮面を少しずつ崩している。

柏木 エリ(かしわぎ エリ)

英梨々がイラストレーターとして同人活動をする時のペンネーム。ほとんどの学校関係者に知られていない。イラストレーターとしての才能は、倫也には「非常に上手で、安定しており、手も早い」と評されているが、「驚きがない」とも思われていた。

『egoistic-lily』

柏木エリが同人活動する際のサークル名。過去、ほぼ毎月、同人イベントに参加してきていて、物語開始年の夏のコミケにも参加したが、柏木エリが『blessing software』に注力するため、同年の冬のコミケまでのイベントに申し込んでいない[注 8]。

イベントの際は、英梨々の両親が売り子、売上管理と確定申告をしている。

英梨々の父はサークルのサイトも運営していて、柏木エリのイラストとサークルのイベント参加予定を掲載している。イラストは基本的に毎日更新され、過去のイラストも閲覧可能。日当たりの閲覧数は数万を超える。一部イラストは、閲覧者が18歳以上であることを確認後に表示される。

出展:Wikipedia